INTERVIEW

一般財団法人 電力中央研究所様 「消費者視点の本質を吸い上げてくれるのが心理学の専門家」

 

 

エネルギーイノベーション創発センターに所属されている上席研究員 博士(情報学)三浦輝久さんと、主任研究員 博士(工学)服部俊一さんのお二人にお話を伺いました。

 

写真左が服部さん、右が三浦さん。お二人の後ろには3Dプリンターやレーザーカッター、そこから生み出される数々の試作品が並んでいました!

写真左が服部さん、右が三浦さん。お二人の後ろには3Dプリンターやレーザーカッター、そこから生み出される数々の試作品が並んでいました!

 

Q. お二人の普段のお仕事について教えてください

 

三浦:僕はデジタルトランスフォーメーションユニット(DXU)情報数理グループに所属しています。

情報系出身の研究者で、それまでは発電所のセンサデータなど電力関係のいろんなデータ分析をやっていました。

人工知能とか機械学習とか、そういうものの専門家になります。

 

服部:私はDXUのIoTグループに所属しています。

元々ソフトウェア系の出身なのですが、「おうちモニタキット」という家庭内のいろんな環境情報や行動データをセンサーで計測するキットを開発しています。

 

服部さん、三浦さんのチームが開発した「おうちモニタキット」 家庭内の電力消費量や湿度、二酸化炭素濃度などのセンサデータを簡易に計測して見える化

服部さん、三浦さんのチームが開発した「おうちモニタキット」 家庭内の電力消費量や湿度、二酸化炭素濃度などのセンサデータを簡易に計測して見える化

 

 


消費者視点の本質を吸い上げてくれるのが心理学の専門家

 

 

Q. イデアラボを知ったきっかけは何でしたか?

 

三浦:Datapalooza(※1)で代表の澤井さんが心理学視点でのデータ分析の講演をしていて知りました。

最近は我々も「おうちモニタキット」を一般家庭で使ってもらう取り組みをしているので、ユーザーインタビューやアンケートなどの心理学的な研究の必要性が出てきました。

それまでも自分たちでお客様にインタビューをしていたんですけど、手間も掛かりますし、インタビューに関してはこちらも素人なので難しいところもあります。

それでお声がけしました。

 

服部:私は心理学系の会社とか分野については知らなかったですし、イデアラボという会社についても正直よくは分からなかったんです。

案件の発注の段階でもやることがはっきり決まっているわけでもなかったんですが、

相手が研究者集団であれば、企画段階からゴールを共有して、そこに向かっていろいろ話し合いながらできるかなと。

 

三浦:たぶん心理学って世間のウケがいいから本もいっぱい出ているし、その分怪しいものもいっぱいあるじゃないですか。

 

服部:心理学を使ってどうこう…みたいな怪しい会社がたくさんありそうですよね。

 

三浦:少なくともイデアラボから「怪しいな、本当かよ」とかいう感じはしなくて、

まじめに研究をやってるんだなという感じが伝わってきました。

 

服部:話をしていてこれ以上ちゃんとしているところはなさそうだなという印象はありましたよね。

研究者としては、相手が研究者としてどういうスタンスでやってるかというのは分かりますからね。

 

 

Q. プロの研究者でも、イデアラボのような外部の研究機関が必要なのはなぜですか?

 

服部:情報とか機械学習の分野は特にそうかもしれないのですが、どんどん技術のトレンドが変わって、技術が応用できる分野も広がっていくんですよね。

その中で、心理学も含めいろんな業界の分野横断的な知識が求められています。

かといって自分が勉強できる時間は限られていますので、自分はここを勉強して、ここは他の専門家に任せるという判断もときには必要です。

今回で言うと、我々は工学の人間ですので、インタビューやアンケートデータからニーズや課題を深堀りしたくても、消費者理解の方法論に関しては決定的に理解不足でした。

 

三浦:我々も研究者なので、他分野のことでも、調べてある程度やってみることはそれなりにできるとは思うんですけど。

確信が持てないんですね。やったことがちゃんとしているのかどうかとか。

だから、そこはプロに頼めるならプロに頼んじゃったほうが、やっぱり早いし、安心だし、餅は餅屋という感じです。

 

服部:研究者は「巨人の肩の上に乗る」なんてことをいいますけど、違う分野ではどうしても積み上げに膨大な量がありますので、すぐにキャッチアップするのは難しい。

それから、研究者同士で話をすると話がスムーズなだけでなく、単純にモチベーションが上がるというのもありますね。

 

三浦:そうだね。特に知らない話だから興味深いというか…。

打ち合わせをしてても「ああ、そんな話があるのか」みたいな発見があるし、いろんな人がいて面白いなと思います。

 

笑顔の三浦さん

 

 

 


必要なことは多少無理をしてでもやってくれるが、本当に無理な時は

「無理なので、できません」と言う専門家としてのプライド

 

 

Q. 実際にイデアラボと仕事をしてみて、どうでしたか?

 

服部:今回のプロジェクトは、もちろん最初の計画はあったんですけど、多くの人や企業が関わる中で計画通りにはいかないですし、何度も見直しをしながら柔軟に進めていく必要がありました。

でも、やっぱり皆さんプロの研究者なので、ビジネスライクに「ここまでが契約の範囲なので」とかっていう話ではなくて、できる範囲のことは全部やっていただけたかなという気はしていますね。

 

三浦社長がラフな格好で打ち合わせに来る(笑)。ありがちなコンサルの型にはまらない素敵なキャラだなという印象(笑)。

それはともかく、服部が言うみたいに、お互いに対等なパートナーだといいなと思っていて、その通りだったなという感じがしますね。

心理学系の話は、「これはどう思いますか」と言ったら答えてくれるし安心して任せていました。

助かったというか何というか、イデアラボとやってきて良かったなという気がしますね。

 

服部:形態としては我々から発注するという形式でしたけど、実態は対等な研究者同士としての関係でしたよね。

 

三浦:そう。一緒に研究をやっている立ち位置だったので、全部言わんでも勝手にやってくれるというか、

勝手に文献が調べられていて「こんなのはどうですか」とか出てきたり、研究者なので興味が湧けば余計に調べちゃう感じは、同じような人たちだなという感じがしましたね。

あと、ビジネスにありがちな駆け引きが必要ないというのも大きかった。

必要なことなら多少無理をしてでもやってくれたり、逆に本当に無理な時は「無理なので、できません」と言ってくれるので、普通にこちらの主張をすれば、そのまま伝わるというか。

面倒くさいことがなかったと思います。

 

服部:できないことを「できる」と言ったりとか、できるけど面倒くさいから「できない」と言ったりとか、そういうことがないんですよね。

それがすごく信頼できた。受注をしたいがために実際はできないけど「できる」と言っておいて後で「できませんでした」という会社もあるじゃないですか…。

イデアラボの研究員は専門家としてのプライドを持ってやっているんだなと思いました。

 

我々はもちろん産業研究をやる身としてビジネスとか電気事業への貢献という熱意も当然あるんですけど、

研究者個人としては、研究成果を出すというところが一番のモチベーションだったりするんですよね。

イデアラボの研究員も同じで、受注できればいいとか、お金が稼げればいいとかだけじゃなくて、

研究成果を出すというところに、すごい強いモチベーションを持っていらっしゃるんですよね。そこはやっぱりいいです。

 

服部さんの写真

 

 

 


そもそも解決すべき課題は何かとか、そういうところから本当は相談していかないといけない

 

 

Q. 研究者として、ビジネスサイドの人と一緒に仕事をする時に大切にしていることはありますか?

 

三浦:僕らはソフトの委託開発などをお願いすることがあるんですけど、成果物は最後の最後に出てくるので、そこに至るまで相手の実力や、こちらの意図が正しく伝わっていたのかの答えがわからない。

 

服部:ゴールの共有が難しいんですよね。

なるべく伝えているつもりでも、制作側は「仕様を満たした成果物を作る」ことがゴールであって、その結果「そのソフトを使った(我々の)研究がうまくいくかどうか」というのは、正直関係ないわけです。それはそれで立場的にはしょうがないところはあるんですけどね…。

 

逆に、自分たちが「こういうテーマでやってほしい」という研究依頼を受ける時に気をつけていることもあって。

そのテーマの中に課題があることは確かなのですが、何を解決すべきかの具体的なピースを選ぶのは専門家の仕事。

テーマをそのまま研究課題にするのではなくて、よく見極めて具体的なゴールに落とし込んでいくとお互いに良い結果になると思うんですよね。

研究を依頼されて一緒にやっていく立場としては、最初の計画段階からできるだけ関与すべきかなという気はしています。

 

三浦:確かにそうなんですよね。

ただ、日本だからなのかな、一般論として計画に対してお金を払うということに慣れていないというのはありますよね。そういうモデルがない。

 

服部:そうですね。私も昔はシステム開発を請け負う会社にいましたので、よく分かるんですよ。

コンペでは頻繁に企画書やプロトタイプを作るのにお金が発生しない。

そこにお金を出すという文化がないのは、本当に良くないなと思います。

 

三浦:研究でもソフトウェア開発でも、初めにきっちりと目標や枠組みを決めることに価値があるはずなんですよね。

 

そのためには、そもそも解決すべき課題は何かとか、本当はそういうところから相談していかないといけない。

我々も電力会社さんからは「あなたたちは何ができるの?」と問われているんですけど、

「多様な分野の専門家がいて、何を研究するかという課題の計画部分から取り組めますよ」というところが、たぶん売りであって。

おそらくイデアラボも同じようなことかなと思います。

そもそも心理学のものが内製できるんだったら外に頼まないので。内部に専門家がいないからこそ、一緒にやって間を埋めていくことに価値がある、という意味では同じ立場なのかなと。

 

どうやったらうまくいくかという答えはないですが、初めの計画段階から外部の人を入れるのは結構勇気がいることかなと思うんですよね。

だから、今は相手先の会社さんと信頼関係をつくって知り合いを増やして、口コミや指名のような形で研究を依頼してもらえるように取り組んでいます。

イデアラボの場合も、僕らが「イデアラボといういいところがあるらしいぜ」という口コミをどこかで言うと、「なるほど、使ってみようかな」となるかなと。

 

服部:そうですね。言うは易し、ですが(笑)。

 


 

コンサルが心理学をかじっているんじゃなくて、心理学者がコンサルしている会社

 

 

Q. イデアラボのことを、どんな風に紹介してもらえますか?

 

服部:研究者に対してだったら、「ここの人たちは研究者ですよ」と言いますね。

 

三浦:そうだね。研究者の人に対しては、コミュニケーションコストの心配は一切不要だと言いたい。

研究者って自分の倫理観や矜持みたいなものがあって、例えば「AIを使っていないのに流行りだからという理由だけでAIという言葉を使うのは嫌だ」ということにこだわりがあったりとか。

その調整で変な労力を使ったりするのが嫌な人が多い気がするけど、イデアラボの社員も研究者なので、その面での心配は一切不要だと言いたい。

研究者以外に勧めるとしたら、何だろうな。

 

服部:イデアラボはコンサル的な仕事もされているんですけど、「コンサルが心理学をかじっているんじゃなくて、心理学者がコンサルしていますよ」というものだと思うんですよね。

その違いはすごく大きいと思います。

 

三浦:そうだね。研究者同士だからストレスフリーだし、打ち合わせをしていてもいろんな新しい知識が入ってくるから良いことづくめ(笑)。

 

ありがとうございました!

 

3Dプリンターを前に笑顔で談笑するお二人

※1:Datapaloozaとは=日本アイ・ビー・エム株式会社が主催する、データサイエンティストおよびデータエンジニア向けのコミュニティイベント