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  • 2019.07.22

株式会社 竹中工務店様「アカデミアとビジネスのちょうどいい距離感」

株式会社 竹中工務店

技術研究所 未来空間部 健康空間グループ

研究主任 西田恵さん


西田さんは、健康建築(誰もが健やかで、心豊かに生きていける場所を築いていく)「健築」で設計された建物が、人に与える影響を評価するお仕事をされています。

西田さん

建築が人に与える影響を測りたくても、「人を測る」専門家は社内にいなかった


イデアラボに相談していただいたきっかけは何でしたか?

西田:そもそもイデアラボさんと出会う前から悶々と考えていたことがあって。 多くの会社でそうだと思うんですけど、建物ができたらアンケートを自社で作って「物理的な環境を明るくした、アンケートでも明るくなったと答えた」みたいな評価をしているのがほとんどという中で、「本当に人に影響を与えたかどうか」をどのように測ればいいのか、ということをずっと考えていました。

私たちが作りたいのは「明るい」とか「暑くない」という物理的な快適さだけではなくて、結局「人が快適と感じる空間」なんですけれども、なかなかそこにはアプローチできなかったんです。

人の心への影響を専門的に測る人がいなかったので社外で探すしかないかなと思っていたところ、イデアラボさんと出会ったのがきっかけでした。


その後、イデアラボにはどのような依頼をしましたか?

西田:オーソライズされた評価指標をもとに人への効果を定量的に測り、環境が人に与えるエビデンスを得たい、という依頼をしました。

新柏クリニックという特殊な木造建築の技術を使ったクリニックがあるのですが、せっかく木造の素敵な建物が完成したので、設計者の「治療を受けている患者さまにとって、いい建物にする」という意図を数値的に評価したいと思っていました。

でも、いいかどうかということを聞くだけだったら、アンケートを取ればおそらく「いい」という答えは引き出せるんですよね。 「新しいところに行ってどうですか」「いいです、満足です」「満足度98%」、というような結果はおそらく出せる。

設計者もクライアントさんもそんなことは分かっているのですが、そもそも本当にいい建物ができているのかにもう一歩、迫りたいという思いがありました。


イデアラボの仕事には、どんなことを期待していましたか?

西田:個人的な期待としては、計画立案とか仮説の立て方とか分析手法なんかを勉強して、いずれ自分でもできるようになりたいなというのがありました。

例えば、オフィスの改修工事の効果を測るとか、サーカディアンリズムに配慮した照明のある部屋で働く方への効果を検証するとか、そういったお話がいくつかあるのですが、それを全てイデアラボさんにお願いできるわけではない。

他の案件でも、社内で計画して分析すべき状況もありましたし、これからもあるだろうという中で、学ぶ機会をいただけたのはすごくありがたかったです。



「良いか悪いかだけ」を聞いたら、きっとみんな「いい」と言うに決まってる


いい建築ができたことはわかっているのに、さらに科学的な測定が必要な理由は?

西田:いい建築をつくったり、いい素材を使ったりすることの意義や効果を世の中に発信したいというような思いがあったと思います。

「燃エンウッド」のように機能性が高いけれども高価でなかなか使う機会が少ないようなソリューションに対しては、それを使用するエビデンスがあると普及しやすいはずです。

お客さんが喜んでくれるものというのは結局、社会にとって価値があるものだと思うのですが、その価値を問うためにもしっかりしたエビデンスが必要だと思っています。


エビデンスがあることで、どんな価値発信につながりますか?

西田:竹中工務店が良い建築をつくることができる、というのがもちろんお客様にとっての価値だとは思うんですけれども。

でも、それだけでお仕事がいただけるわけでもなく、社内でもお客様の側でも意思決定の際にどうしても乗り越えなければならない最後の壁みたいなところがありますよね。そういったときに、エビデンスがあることにはすごく効果があって。

きちんと建築の評価をしていくということは、単に広告だとか、その場の満足だとか、そういうことを超えた意味があるんだと思っています。



イデアラボは壁打ちもしてくれるし、先生でもあるし、実際に業務を遂行してくださる方でもあるし、一石三鳥か四鳥


実際に取り組みをしてみて、期待通りでしたか?

西田:検証したい目的に対してどういう仮説で、どういう質問を設計するのか?というような研究デザインを考えるプロセスを一緒に、すごく丁寧にやってくださったのが良かったなと思っています。

何を、どんなふうに検証したいのかということはなかなか言語化するのが難しいものですが、何度も丁寧に議論を重ねていく中ですごくうまく汲み取ってくださって、伴走してくださるような感じで。

今まで経験のない取り組み方をしてくださったので、対応にはすごく安心感がありました。


西田さんの部署では何か変化がありましたか?

西田:うちは「竣工した建物の効果を測りたいんだけど、お願いできる?」いう感じで社内の設計者から仕事が来る部署なんです。今までは自部署だけで対応していたところを、イデアラボさんにお願いするという選択肢が増えたという感じです。

社内で解決するのか、ちょっとお金は掛かるんだけれども、人への効果を測るアイディアや知見を多く持っているイデアラボさんとやるのか、というような。

今までだったらうまく評価できていなかったかもしれない効果を、イデアラボさんに相談することで可視化できる可能性があると思っています。


他のプロジェクトに応用できることはありましたか?

西田:全ての建物にはその空間で過ごす「人」が関わっているのに、クリエイティブなオフィスを作ったとしてもその効果検証をするケースは多くありません。

本当にいいものを作れたかどうかを設計者やお客さんの感覚を超えて示すことができれば、次のもっといい仕事につながるのではないか、と思っています。

毎回同じように予算をかけられるわけではありませんが、イデアラボさんとの協業を通じてそういった検証プロセスの大切さを知ることができたので、他のプロジェクトでも効果検証をしていきたいと思っています。



イデアラボさんはアカデミアとビジネスとのちょうどいい距離感


大学との共同研究もされているのに、あえてイデアラボも選ぶ理由は?

西田:心理学の手法でデータを取得して分析する上で、最初の選択肢としては大学の先生がいらっしゃるので弊社でも大学との共同研究も行なっています。

ただ、ビジネスとのちょうどいい距離感を持って相談できる選択肢としてはイデアラボさんしかいなかった。

大学の先生は、学術的に新規性や面白さがあることを、深い専門性を持ってご一緒していただくと言う感じです。

やはり特定の研究方法や領域に特化されているので、学問的に掘り下げていくことに関してパートナーになっていただいています。

一方で、イデアラボさんは何というか、もう少し広い感じです。

もしかしたら一つ一つの分野では大学の先生みたいに深くはないのかもしれないですけど、ビジネスの視点を含めて全体的に検証してみたい…というときに、広く心理学の知識をもって調査計画を作っていただけるところが違うかなと思っています。


ふんわりした状態でも気軽に安心して相談できる、ということですか?

西田:そうですね。でもそれだけではなくて、言い方が難しいのですが…

イデアラボさんはあくまでも、(結果を捏造するという意味ではなくて)ビジネスで求められる効果を多角的に評価して結果を出すということに常にゴールを置いて一緒に活動してくれるところが役割の違いかなと感じますね。

インタビュー中の西田さん


イデアラボへの相談を迷っている人に、何か一言お願いします

西田:今まであったような簡単なアンケートを集計しただけの結果ではなくて、もう少し学術的で説得力のあるエビデンスが欲しいと思っているなら、まずはぜひ相談してみてほしいと思います。

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